ポルトガルには木彫りのハンコがあります。
これは本当はパンのハンコです。
今から100年ほど前まで実際にアレンテージョ地方で使われていた台所用品です。
その昔、アレンテージョ地方の人々の生活は貧し
く、パンを焼く窯さえも各家々にはなく、村にひと
つだけ共同の窯があったそうです。
農婦たちは各自がパン生地をこね、
共同窯でパンを焼くわけですが、
自分のパンとほかの人のパンを見分けるために、
自分だけの印であるハンコをパンの側面に押してから
窯に入れたそうです。
ハンコは日本でいえば家紋のようなもの。
しかしながら、どれひとつとして同じ柄がなかったそうです。
現在では、田舎でもパン屋はありますから、
木彫りのハンコは台所から姿を消しました。
まだ、このハンコを残している家庭では、
こうしてアローシュ・ドースの模様づけ(ハンコを湿らせた布の上に
一度置いてからシナモンをつけ、
アローシュ・ドースの表面に押す)に利用しています。
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